ここに書かれた情報は、あくまで誤食や事故を防ぐためのものです。「どこを何g食べればトリップできる」といった情報は一切扱いません。

はじめに|「笑い」「トリップ」は、すでに中毒症状です

ネット上では、「笑いが止まらなくなるキノコ」や「ちょっとだけ食べると気持ちいい植物」のような情報が出回っていますが、断言します。 それらはすべて「毒による中毒症状」です。
さらに、日本ではその多くが麻薬原料植物・指定薬物等として違法になっています。
この章では、
  • 「どんなキノコ/植物に、どんな危険な作用があるのか」
  • 「どのような症状が出たら、すでに救急レベルなのか」
を知ってもらうために、代表的なものを紹介します。
毒成分の量には個体差・体質差が大きく、“安全ライン”は存在しません。興味本位で近づくことは絶対にやめてください。
実は日本でも当たり前のように見つかるので誤って採取・飲食は絶対しないようにしましょう。これをみたらすぐに通報をお願いします!

1. 幻覚性の毒キノコたち

1-1. ヒカゲシビレタケ(Psilocybe argentipes)

ヒカゲシビレタケ
厚生労働省掲載
  • どんなキノコ?
    小型〜中型の地味なキノコで、傘はあまり開かず中心がやや尖る形をしています。日本原産の幻覚キノコとされ、「日本菌類百選」にも挙げられています。
  • どこに生える?
    落ち葉や朽木の多い林内・公園・庭など、わりと身近な環境に出ることがあるとされています。見た目は地味で、他の小型キノコと紛れやすいのが厄介な点です。
  • 含まれる代表的な成分
    シロシビン(psilocybin)、シロシンなどの幻覚性成分。
  • 中毒症状(イメージ)
    • 視覚・聴覚の異常(色や音が歪む・鮮明になりすぎる)
    • 時間感覚の喪失(数分が数時間に感じられる 等)
    • 多幸感と不安・恐怖が短時間で入れ替わる
    • 動悸・発汗・吐き気
  • ⚠️ リスク
    一部の症状は、医療現場で問題になる幻覚剤中毒(LSDなど)に近いとされ、“面白い体験”ではなく、明確に救急案件です。
  • 法律上の扱い
    日本では麻薬及び向精神薬取締法の麻薬原料植物に指定されています。故意の採取・所持・栽培・譲渡などは違法で、見つけた場合は保健所や警察への通報が求められています。

1-2. ワライタケ(Panaeolus papilionaceus など)

ワライタケ
  • どんなキノコ?
    • 傘径2〜4cm、柄は5〜10cmほどの小型キノコ。傘の表面がひび割れて亀甲状になることがあり、これが目印の一つとされます。
  • どこに生える?
    • 牧草地・芝生・牛馬の糞が混じった土など、肥えた土地に春〜秋にかけて発生します。
  • 含まれる代表的な成分
    • シロシビン系の幻覚成分。
  • 中毒症状(古い記録での典型例)
    • 誤食した人が、悪酔いのような感覚に陥り、歌い出す・踊り出す・妙におかしくて笑いが止まらない、音楽が聞こえる/モノが動いて見えるなどの幻覚を起こし、大騒ぎになったという例が複数記録されています。
  • ⚠️ リスク
    • ここで重要なのは、**「笑い上戸」「気分がハイ」=楽しいのではなく、“脳が毒で異常興奮している状態”**ということです。過量や持病・アルコールとの併用などがあれば、昏睡や呼吸抑制につながるリスクもあります。
  • 注意点
    • 同じ仲間のキノコは世界中に分布し、見分けも難しいため、**「自生キノコを自分判断で食べること自体が非常に危険」**と考えてください。

1-3. ベニテングタケ(Amanita muscaria)

ベニテングダケ
  • どんなキノコ?
    • 絵本に出てくるような、赤い傘に白い斑点のキノコ。非常に目立つため、一度見ると忘れられません。
  • どこに生える?
    • 主に北〜冷温帯の針葉樹林など。日本でも高原や寒冷地の森で見られることがあります。
  • 含まれる代表的な成分
    • イボテン酸、ムシモールなど。いずれも神経系に作用し、幻覚・興奮・運動失調などを引き起こすとされています。
  • 中毒症状
    • 朦朧とした眠気、奇妙な夢
    • 現実と夢が混ざったような幻視・幻聴
    • 千鳥足のようにふらつき、転倒
    • 吐き気・嘔吐・下痢
  • ⚠️ リスク
    • 一部の描写は「ふわふわした酩酊感」と表現されることもありますが、実態としては重度の酒酔い+せん妄状態に近く、高所からの転落・交通事故など二次被害の危険も非常に高いです。

1-4. シロシビン系キノコ全般について

ダメ絶対!毒キノコ
ヒカゲシビレタケやワライタケのように、シロシビン(psilocybin) を含むキノコは世界中に多数知られています。そして麻薬及び向精神薬取締法の麻薬原料植物に指定されています。
同じ種でも「生えている場所」「気象条件」「成長度合い」によって成分量が大きく変わり、1本で軽症〜重篤まで振れ幅が非常に大きいとされます。 さらに、素人には安全な食用キノコとの区別が困難で、「別の猛毒キノコと取り違える」リスクも現実的です。
🔴 結論: 「キノコでトリップしよう」と考えた時点で、事故・救急・逮捕のどれかに近づいている……くらいに考えておくのが安全です。

2. 幻覚・精神症状を起こす代表的な毒植物

2-1. チョウセンアサガオ類(ダチュラ/エンジェルトランペット等)

チョウセンアサガオ
  • どんな植物?
    • 大型のラッパ形の花・トゲトゲの実をつけるナス科の植物群。観賞用として庭に植えられることもあります。
  • 含まれる代表的な成分
    • アトロピン、スコポラミンなどのトロパンアルカロイド。
  • 中毒症状
    • ひどい口の渇き・瞳孔散大・動悸
    • 時間や場所がわからなくなる「せん妄」
    • 見えないものが見える、意味不明な会話、服を脱ぐなどの異常行動
    • けいれん・昏睡・呼吸障害
  • ⚠️ リスク
    • 医療的には、一部の強い眠剤や抗コリン薬を大量に飲んでしまったときに似た状態と考えられます。「フラフラしておかしくなる」のは、すでに危険ゾーンです。
  • 避けるポイント
    • 庭・公園など人が触れる場所に安易に植えない
    • 見かけても「食べられるかも」と考えない
    • 種や花を子どもの手が届く場所に放置しない

2-2. ハシリドコロ(ナス科)

ハシリドコロ
  • どんな植物?
    • 山地の林縁・沢沿いなどに生える多年草。春先の芽が山菜のフキノトウと紛らわしく、毎年のように誤食事故が報告される代表格です。
  • 含まれる成分
    • ヒヨスチアミンなどトロパンアルカロイド。
  • 中毒症状
    • 走り回ったり、意味不明の言動をする(名前の由来「走りどころ」説)
    • ひどいめまい・幻覚・興奮
    • 動悸・口渇・瞳孔散大
  • ⚠️ リスク
    • こちらもせん妄状態+自律神経症状で、山中での落下・事故のリスクが高まります。
  • 避けるポイント
    • 山菜採り初心者は、フキノトウに似た芽生えを絶対に自己判断で採らないでください。

2-3. トリカブト類

トリカブト
  • どんな植物?
    • 山地に生える有名な猛毒植物。秋に紫〜青の独特な兜状の花をつけますが、春〜初夏は葉だけで他の植物と紛らいやすいです。
  • 含まれる成分
    • アコニチン系アルカロイド(強い心毒・神経毒)。
  • 中毒症状
    • しびれ・感覚異常
    • めまい・意識障害
    • 不整脈・血圧低下
    • 呼吸不全・心停止
  • ⚠️ リスク
    • 少量でも致死的になりうるレベルで、「トリップ」云々ではなく、“命に直結する毒草”だと理解すべき存在です。

「マジックマッシュルーム」は所持だけで違法

ヒカゲシビレタケ、ワライタケなど、幻覚成分(シロシビン・シロシン)を含むキノコは、2002年から*「麻薬原料植物」として法律で規制されています。
  • 禁止事項: 採取、所持、栽培、譲渡、譲受、使用のすべて。
  • 違反した場合: 麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕・処罰の対象になります。
「山に生えていたのを採っただけ」「観賞用に持っていただけ」という言い訳は通用しません。見つけても絶対に持ち帰らないでください。

植物の成分抽出・濃縮のリスク

チョウセンアサガオやトリカブトなどの植物自体は、園芸店でも販売されており、栽培自体は合法です。 しかし、「幻覚成分を摂取する目的」で加工・抽出・濃縮する行為は、状況によって麻薬製造や指定薬物に関連する法規制に抵触する可能性があります。
なにより、素人が有毒植物を加工することは**「致死量の毒を生成する実験」**に他なりません。法的なリスク以前に、命に関わる危険行為です。

「ネット情報で真似しない」ために覚えておきたいこと

「〇〇を乾かして吸うとハイになる」は全部アウト

自然物であれなんであれ、「ハイになる」「ラリる」「トリップする」ことを目的とした摂取は、法律的にも、健康面でもほぼ確実にアウトです。 同じ名前の植物・キノコでも、日本と海外では成分量も法規制もまったく違う場合があります。

「昔のシャーマンが使っていた」=安全ではない

儀礼で用いられたとしても、それは「厳格な管理」「経験豊富な指導者」「長い文化的背景」といった前提があって、かろうじて成り立っていたものです。 それを切り取って、現代の一般人が真似したところで、「中毒+逮捕+社会的ダメージ」だけがセットで付いてくると考えましょう。

「一度くらいなら大丈夫」は通用しない

幻覚性の毒物は、体重・体質・持病・服用中の薬・アルコールとの併用で、中毒の重さが激変します。 ある人には「一瞬の気持ち悪さ」で済んだ量が、別の人には呼吸停止レベルになることもありえます。

もし「食べてしまったかも」と思ったら

  1. すぐに医療機関・救急(119)へ連絡 自覚症状が軽くても、「幻覚・異常な酔い方」が出た時点で危険サインです。
  2. 吐かせようとしない 意識がはっきりしない場合、誤嚥のリスクがあります。
  3. 現物・残り・現場写真を持っていく 医師が毒の種類を推定する重要な材料になります。
  4. 一緒に食べた人も全員、受診を検討

まとめ|「トリップ情報」と距離をとるのが、いちばん賢い楽しみ方

ヒカゲシビレタケ、ワライタケ、ベニテングタケ、チョウセンアサガオ、ハシリドコロ、トリカブト…… どれも**「ちょっと面白そう」ではなく、命・法律・人生に直結する存在**です。
「どんなふうにハイになれるか」ではなく、 「こういう症状が出たら、すでに中毒で手遅れに近い」 という視点で、距離をとるのが正解です。
安全に自然を楽しむなら、
  • 山菜・キノコは信頼できる図鑑・講習・ガイドを通じて学ぶ
  • 「怪しい情報」「トリップ目的」を見たら、そっとタブを閉じる
これくらいの慎重さでちょうどいいと思っておいてください。